水辺で静かにたたずむ小さな鳥。
そのシルエットから、カモやカモのヒナに間違われがちなカイツブリ。
ちょっと地味だけど、じつはとてもユニークで奥深い生き物。
今回は、そんなカイツブリの知られざる魅力をご紹介します。

「カイツブリ」の名前の由来
カイツブリという名前は、水を掻いて潜ることから「かきづぶり」と呼ばれ、それが転化してカイツブリとなったという説があります。
古くは「鳰(にお)」「鳰鳥(におどり)」とも呼ばれ、やはり水に没入するという姿に着目されたようです。
名前の通り水に潜るのがとても得意で、水中で魚たちを捕らえます。
まるで足が翼のようです!
カモにそっくり!でも実は意外な鳥と近縁!
カイツブリは見た目こそカモに似ていますが、まったく別のグループに属する鳥です。
実は、もっとも近い仲間は……なんと フラミンゴ!
にわかには信じがたいかもしれませんが、遺伝子解析の結果から、カモよりもフラミンゴと近縁関係にあることがわかっています。
姿かたちは違っても、進化の不思議を感じさせられますね。

泳ぎに特化した身体構造
カイツブリの最大の特徴のひとつは、水上生活に特化した足です。
カモのように「水かき」があるわけではなく、弁足(べんそく)と呼ばれる扇状の構造を持っています。
さらに、足の位置が体のかなり後ろ側についており、これが水中での推進力を高めています。
逆に言えば、陸上ではかなり不器用。
とても歩きづらそうな姿を見ることができます。

水に浮かぶ巣での独特な子育てスタイル
カイツブリは、水に浮かぶ巣(浮巣)を作ることで知られています。
ヨシや水草を集めて水面に浮かべた、ちょっと頼りなげな巣ですが、ちゃんと安定していて卵をしっかり守ります。
繁殖期は長く、4月から9月ごろがピークですが、条件が整えばなんと 秋や冬にも子育てを行うことがあります。
都市部の公園の池などでも観察されるため、意外と身近なところで出会えるかもしれません。

背中にヒナをのせてス〜イスイ
カイツブリの育児シーンは、とにかく癒し度100%!
親鳥がヒナを背中に乗せて泳ぐ姿は、まるで「カイツブリ親子のボートツアー」。
小さなヒナが何羽ももぞもぞと親の羽の中に収まっていたり、時折顔をのぞかせたり…とにかくかわいさ満点!
運が良ければ、そんな貴重な光景を目にすることができるかもしれません。

見た目は地味でも、知れば知るほどおもしろいカイツブリ。
水に潜るスピード、背中にヒナをのせる愛らしさ、そしてフラミンゴとの意外なつながり…と、まさに小さな驚きが詰まった鳥です。
近くの池に行く際は、ぜひカイツブリを探してみてください。
何気ない日常に、ちょっとした発見が加わるかもしれません。
【参考文献・サイト】
デビッド・アレン・シブリー『イラスト図解 鳥になるのはどんな感じ? 見るだけでは物足りないあなたのための鳥類学入門』
野鳥シリーズ65 カイツブリ | あきた森づくり活動サポートセンター
https://www.forest-akita.jp/data/bird/65-kai/kai.html
9月にカイツブリの巣。繁殖期はいつまで? | 野鳥と自然を観察中
https://notoritori.com/?p=103
