小さなハンター モズの生態と名前の秘密

今年の秋~冬にかけての探鳥に、ひそかに目標を立てています。私の大好きな鳥のひとつ、モズの「はやにえ」を見つけ、できればモズ本人(鳥)と合わせてカメラに収めたいと思っています。
かわいらしい見た目、独特な生態、そして身近に目にすることのできる魅力たっぷりのモズという鳥について今回は調べてみました。


モズの生態には興味深いものがたくさんあるかと思いますが、その中で最も話題に挙がるのはやはり、はやにえではないでしょうか。
捕らえた昆虫やカエル、ネズミなどの小動物を、枝などに刺しておく習性のことです。
このはやにえは、10月~12月ごろ、寒さが本格化する前に集中的に生産され、最も寒くなる1月をピークに消費されます。繁殖期を迎えるころには、ほとんどのはやにえは消費され切ってしまうようです。
このはやにえですが、獲物の確保が難しくなる冬の間の保存食という役割ももちろんあります。
しかし近年の研究により面白いことが判明しました。はやにえをより多く消費したオスは、どうやらメスによくモテるようです。はやにえが最も消費される1月はモズの繁殖シーズン直前にあたります。はやにえを食べて十分に栄養補給ができたオスは、求愛のためのさえずりが上手くなる(歌唱速度が速くなる)のだそうです。
はやにえには、冬の保存食+繁殖に向けたさえずりのための栄養補給食という役割があるようです。


さて、モズという鳥の名前ですが、「百舌」「百舌鳥」「鵙」等の漢字表記があります。
名前の由来には諸説あります。様々な鳥の声マネをすることができることから「諸々」が縮まった「百(もも)」に、からス、うぐいス、ほととぎスなど、鳥を意味する接尾語のスを合わせてモズとなったという説があります。
そのほかの説には、何かほかのものを真似することを意味する「もじる」という動詞の名詞化した形「もじり」という言葉からモズとなったという説もあります。
いずれの説も、モズがほかの鳥の鳴きまねを得意とする点に着目した、面白い説ですね。


モズの「高鳴き」は秋の季語にもなっています。
もうじき、冬に向けて縄張り宣言をするモズの高鳴きが聞こえ始めるころかもしれません。
私はそんなモズたちと、はやにえにされた獲物を探して枝の隅々まで目を凝らしてみようかと思います。

【参考文献】

公益財団法人日本野鳥の会『日本野鳥の会とっておきの野鳥の授業

BIRDER編集部『BIRDER (バーダー) 2024年 10月号 [雑誌]

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