驚異の能力を持つ天才的な鳥たち5選

前回の記事でシジュウカラの持つ言語能力について触れました。
鳥が意味のある言葉を話すということを知ったとき、驚いた方もいたのではないでしょうか。
今回は、実験や研究によって明らかになっている、5種類の鳥たちの隠された才能や人間を凌駕する能力について紹介していきたいと思います。

①ヤマガラ

野山などで見かけることがある、ニーニーという鳴き声が特徴的な野鳥のヤマガラ。
ヤマガラは物覚えがよく器用な鳥なので、昔は芸を仕込むことができたそうです。おみくじをヤマガラに引かせるというもので、お金を渡すとそれを賽銭箱に入れ、おみくじを取ってきてくれたのだそうです。
今ではヤマガラを飼育することが法律上できないためこの芸を見ることができません。ヤマガラに引いてもらったおみくじ、私なら一生大切に保管したことでしょう。
また、ヤマガラには貯食という、秋の間に見つけた木の実を冬に備えて蓄えておくという習性があります。
たくさんの木の実を野山の地面や木の幹に隠しておくのですが、その場所を数か月間、ほとんど覚えているのだそうです。
物忘れが激しいことを「鳥頭」と言いますが、ヤマガラには当てはまりそうにありません。

②カラス

鳥の中でもカラスが頭がいいのは有名かもしれません。
カラスは体重に対して脳が重いことが知られています。体重に対する脳の重さを脳化指数という値で表し、ヒトを10としたとき、カラスは2.1という値になります。
この値は、チンパンジーなどには及びませんが、そのほかのサルやイヌ、ネコよりも大きな値です。
カラスや同じカラス科のオナガやカケスにも、先に挙げたヤマガラと同様貯食の習性があります。
また、学習能力にも目を見張るものがあります。有名なのが走行中の車を利用してクルミを割る習性です。
たまたま車がクルミの硬い殻を目撃したカラスが、クルミを道路に置き車に割ってもらうようになり、それを見たカラスが学習し…といった風に広まっていくことがあるようです。
派生として、クルミの置く場所を線路にして、列車に轢かせて割る方法取るカラスもいるようです。

③ササゴイ

道具を使う動物は知能が高いと思われがちですが、それで言うとササゴイも賢い動物と言えそうです。
ササゴイは水辺で魚などを捕らえて食べるサギの仲間ですが、魚を捕るために釣りのような方法をとるのです。
水面に虫や木の葉、羽毛、パンくずなどを浮かべて疑似餌にし、寄ってきた魚めがけてくちばしを水に突っ込んで捕まえます。
道具を使う鳥としては、日本の鳥ではありませんが、細長い枝を使って木の幹の穴の中に隠れる虫を捕らえるカレドニアカラスが有名です。

④カワラバト

ハトは「伝書鳩」の言葉通り、書類を遠方へ届ける伝書使として人間の役に立ってきました。
これはハトの夫婦間の愛情が深いという性質を利用したもので、つがいのもとから引き離されたハトは相手のもとに戻ろうと、巣に向かって飛んでいくのだそうです(ハトたちの気持ちを考えると少しかわいそうですね)。
その帰巣本能は1000キロ離れた巣に高い確率で戻ってこられるほどです。
また、ハトは視覚認知能力も優れていることが実験で分かっており、風景の中の目印を正しく認識して迷わず帰巣するのに役立てているのかもしれません。

⑤ヨウム

最後に、おそらく世界で最も有名なヨウム、アレックスについてご紹介します(画像はアレックスではない一般的なヨウムです)。
ペッパーバーグ博士に飼育されていたアレックスは、訓練によって50以上の身の回りにあるものの名前を覚えたり、色の違いを認識したり、数字を1~6まで理解したり数ることができました。
また、自分で言葉を作ることもあったようで、「リンゴ」を見たとき、「バナナ」と「チェリー」の特徴を併せ持つと考えて「バナリー」と発言したそうです。
単にモノの名前を覚えるのではなく、それがどんなものでどんな特徴があるのかといったことまで理解していたのでしょう。
単語を組み合わせて、人間と会話することもできたようです。
人間と動物の人語によるコミュニケーション。夢のようなお話に思えますが、一部の鳥類との間では実現可能なことのようです。

今回ご紹介したのは、あくまで実験や研究によって確かめられているものを抜粋したものになります。
人間によってまだ確認されていない鳥類の能力もきっとあることでしょう。
これからも鳥たちの行動に目が離せません。


【参考文献】

細川博昭『鳥を識る なぜ鳥と人間は似ているのか

細川博昭『鳥の脳力を探る

響 hibi-ki | ヤマガラ/スズメ目シジュウカラ科冬に備え貯食する鳥
https://hibi-ki.co.jp/sugisensei015/

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