公園や庭で見かけるスズメやシジュウカラ、カモの愛らしい姿。つい「餌をあげてみたい」と思うことはありませんか?
野鳥への餌付けはいけないこと、というのは愛鳥家の間では常識ですが、具体的に鳥たちにどんな影響があるのでしょうか。それでも野鳥に餌をあげたい場合は…?
今回は野鳥への餌やりに関するあれこれを調べてみました!


野鳥への餌付け、日本では基本的にNG!
日本ではフィールドにおいて個人的な野鳥への餌付けは、原則的にNGとしている自治体や団体が多いです。主な理由とされているのは、以下のような懸念からです。
・野鳥の健康を損なう可能性:特定の食べ物を与え続けることによる栄養の偏りが懸念されます。また、パンなどの加工食品はそのう炎という病気を引き起こすリスクがあります。
・害鳥化:人と鳥の距離が近くなり、鳥たちの行動が人間にとって害となる(ゴミ荒らしや糞害など)ことがあります。
・病気の拡散:複数の個体が同じ給餌場所に集まることで、感染症が広がるリスクが高まります。
・自然な採食行動の喪失:人が与える餌に頼ることで本来の採食行動が阻害される懸念があります。
鳥たちがかわいらしく餌を食べる姿を観察できるというメリットと引き換えに、長期的には人にとっても鳥にとっても悪影響があるという点に注意が必要です。

では、私たちは野鳥にまったく餌を与えてはいけないのでしょうか
答えはNoです。正しい食材を正しい手段で与えれば、鳥たちに餌を提供することは可能です。
たとえばバードフィーダー(餌台)を設置するという方法です。自分の庭に餌を置いた台や釣り下げ式のバードフィーダーなどを設置し、鳥たちに餌を与えることができます。餌はヒマワリの種やアワ、ヒエなどが良いとされています。
バードフィーダーは、日本鳥類保護連盟のサイトなどで購入することができます。
また、庭木などがあればそこに柑橘類を差しておくのも一つの方法です。メジロやヒヨドリなどが食べにやって来ます。バードフィーダーだと設置方法によってはカラスやハトのたまり場になってしまいますが、果物を差す方法なら鳥が集まりすぎるということも少ないでしょう。
バードフィーダーなどを設置する場合は、適切に管理することも大切です。
周辺はこまめに清掃するようにしましょう。古い食材が残ってしまったり、糞が溜まってしまったりしないようにする必要があります。
また、バードフィーダーに集まる小鳥を狙って、ネコやヘビが寄り付く可能性もあります。こうした動物たちが寄り付かないよう、設置場所や周辺には気を配る必要があります。

実際、野鳥たちへの影響は?
バードフィーダーによって間接的に野鳥たちに餌を与えることについて「鳥たちが自力で餌を取る能力が低下してしまうのでは?」と疑問に思われる方もいるかもしれません。しかしそうしたことが起こる可能性は限定的とされています。
アメリカ・オレゴン州の大学の研究によると、『餌箱に集まる小鳥が、餌箱に不健康なほど依存するようになるとは考えにくい』と結論付けています。鳥たちにとって人間が設置した餌台は、生きていくのに必須なほど依存するのではなく、通常の採餌+αに利用する補助的なもののようです。
繰り返しになりますが、加工食品など誤った餌を与える、フィールドで無秩序に与えるといった行為は控えなければいけません。
しかし、自分の管理できる場所にバードフィーダーなどを設置し、正しい食材を与え、適切に管理する分には野鳥に餌を提供することに問題はなさそうです。
食事にやってくる小鳥たちは、フィールドよりもじっくり観察できるチャンスです。可能な環境のある方はぜひ試してみてはいかがでしょうか。
【参考文献・サイト】
明日からお庭でできる、冬や春の野鳥の招き方 | アイディアいっぱいお庭ブログ
https://www.garden.ne.jp/blog/recipe/honbu/21865
Don’t worry, birds won’t become dependent on you feeding them, OSU study suggests | Newsroom | Oregon State University
https://news.oregonstate.edu/news/don%E2%80%99t-worry-birds-won%E2%80%99t-become-dependent-you-feeding-them-osu-study-suggests
エサ台/巣箱 | 公益財団法人 日本鳥類保護連盟
https://www.jspb.org/shop-3
