内覧会レポ①②では現代に存在する鳥類の標本をメインに紹介しました。
第3弾の今回は少し時代をさかのぼり、恐竜をはじめとする鳥たちの祖先に関する展示にも触れていきたいと思います!
鳥展に来て恐竜?と思う方もいるかもしれませんが、恐竜を知れば鳥のことがもっとよくわかる、好きになる!
そう思えるような展示がたくさんありましたので、古生物が好きな方も鳥が好きな方も是非読んでみてください♪
特別展に入って序盤に、鳥類の起源と初期進化について展示がされています。
その中でも目を引くのが、中生代ゾーンに展示されたデイノニクスの全身復元骨格。
骨のまま襲い掛かって来そうな勢いを感じます!
なぜ「鳥」展なのに恐竜の骨格標本があるのでしょうか。
それは、私たちが普段目にしている鳥類の祖先が恐竜だと考えられているからです(現代の鳥類は恐竜の仲間であると言うこともできます)。
デイノニクスは1964年に古生物学者のジョン・オストロムによって発見されました。オストロムはその骨格から、生前デイノニクスは俊敏に動き回り鋭利な鉤爪で獲物を襲うという生態だったと考えました。
当時恐竜はワニやカメなどの爬虫類と同じ冷血動物で、のろまでトカゲのような動きをする動物と考えられていましたが、このデイノニクスの発見により、少なくとも一部の恐竜は温血動物で、俊敏な動きを取ることができたと考えられるようになりました。このような恐竜に対する考えの転換は恐竜ルネサンスと呼ばれます。
その後オストロムは1860年代に発見されたアーケオプテリクス(始祖鳥)の研究を行いました。アーケオプテリクスは恐竜と鳥類の中間のような見た目をした動物で、オストロムはアーケオプテリクスの研究を通して獣脚類などの恐竜と鳥類の類似性を主張しました。
アーケオプテリクスはオストロム以前にも、『種の起源』で有名なチャールズ・ダーウィンや、トマス・ヘンリー・ハクスリーなどの生物学者によっても研究され、恐竜と鳥類との類似性が指摘されています。
オストロム以降も多くの研究者によって、恐竜がどのように鳥類に進化していったのかが研究されています。
鳥展では、恐竜→現代の鳥類の進化の枝分かれについて展示されており、鳥たちがどんな姿を経て今の形態を獲得していったのかを知ることができます。
私たちが想像する恐竜と、普段見ている鳥類とは相違点がたくさんあります。
例えば恐竜には鋭利な歯がありますが、現代の鳥類には歯を持つものはいません。
しかし白亜紀後期(9600万から6500万年前)に北アメリカに生息していたイクチオルニスには歯がありました。
このような恐竜と鳥類の両方の特徴を持つ動物の姿は、恐竜→私たちが普段見る鳥類の進化の軌跡を感じさせてくれます。
鳥展では他にも多くの古代の恐竜・鳥類の標本や資料が展示されています。
鳥たちの昔の姿を知ることで、現代の彼らについてより深く知ることができるのではないでしょうか。
大きな体とくちばしが特徴のガストルニス。
こう見えてきのみなどの植物を食べていたと考えられています。
鳥類史上最大の翼開長を持つペラゴルニス・サンデルシ
次回の内覧会レポは私が個人的に魅力を感じた展示について、好き勝手に語ろうかと思っていますので、読んでいただけると嬉しいです♪
特別展「鳥」公式サイトはこちら
【参考文献】
特別展鳥 ゲノム解析が解き明かす新しい鳥類の系統(図録)
ジョン・オストロム – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%82%B9
デイノニクス – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%87%E3%82%A4%E3%83%8E%E3%83%8B%E3%82%AF%E3%82%B9
始祖鳥 – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%A7%8B%E7%A5%96%E9%B3%A5
イクチオルニス – Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A4%E3%82%AF%E3%83%81%E3%82%AA%E3%83%AB%E3%83%8B%E3%82%B9