豊かな自然が広がり、希少な野鳥たちの生息地でもある釧路湿原。
そこにメガソーラーが建設中とのことで話題になっています。
釧路湿原に何が起こっているのか、今回はそんな話題について簡単に、中立的な立場から解説してみたいと思います!

釧路湿原とは?
釧路湿原は北海道の東部、釧路市や鶴居村、標茶町、釧路町にまたがる大湿原です。
日本最大の湿原で、面積は約2万6,000ヘクタールにのぼります。
そのうち約7,800ヘクタールがラムサール条約に登録され、1987年には国立公園にも指定されました。
湿地の保全が国際的にも求められている地域です。

湿原に暮らす野鳥たち
釧路湿原に生息している鳥として代表的なのは、国の特別天然記念物であるタンチョウです。
この釧路湿原を繁殖地として、毎年春になるとつがいで子育てをする姿が見られます。
また、オジロワシやオオワシ、シマフクロウ、クマゲラといった、環境省レッドリストにも記載される希少な鳥も生息しています。
湿原とその周辺には200種以上の鳥類が確認されており、日本でも有数の野鳥観察地です。
日本エコロジーによるメガソーラーの建設
メガソーラーの建設は、行政ではなく民間企業によって推し進められています。
中でも今注目されている事業者が、大阪に本社を置く「日本エコロジー」です。
日本エコロジーは、釧路市の市街化調整区域の原野等に、大規模太陽光発電施設の開発を計画しています。

メガソーラー建設の是非
メガソーラーの建設については推進派と反対派に分かれていて、おおむね両者の主張は以下のようです。
推進派の主張
・再生可能エネルギーで脱炭素を進めることができる
・発電した電力の売電による収益が発生し、地域雇用や税収増が期待できる
・事業地内は(オジロワシなどの)希少な動物の営巣地にはなっていない 等
反対派の主張
・事業地内はタンチョウやオジロワシの重要な繁殖地になっている
・景観の悪化や火災などの災害リスクの増加
・耐用年数超過後の大量のパネル廃棄の処理方針が不透明 等

行政の対応は?
釧路市はこれ以上のメガソーラーの建設には消極的な姿勢のようです。
2025年6月には「ノーモア メガソーラー宣言」が行われ、「自然環境と調和が成されない太陽光発電施設の設置を望まない」ことを宣言しました。
さらに10キロワット以上の事業用太陽光発電施設の設置を許可制にする条例案を作成し、2026年1月1日の施行を目指しているとのことです。

ネット署名の動きや著名人の反応
市民団体や自然保護団体は、ネット上での署名活動を通じて開発の見直しを求めています。
Change.orgでは「北海道釧路市・釧路湿原南部におけるメガソーラーの駆け込み建設中止を求めます!」という署名活動が起こり、7/4現在、7万3,000筆が集まっています。
オンライン署名はこちらから
また、モデルの冨永愛さんがXで「なんで貴重な生態系のある釧路湿原にメガソーラー建設しなきゃならないのか」と疑問を投げかけた投稿が話題になりました。
この投稿をきっかけに署名活動への注目が高まり、メディアでも取り上げられるようになりました。
釧路湿原は、世界的にも貴重な自然環境と多様な野生動物が共存する場所です。
メガソーラー開発は、再生可能エネルギー推進という観点からは重要ですが、環境への影響をどう最小限にとどめるかが問われています。
現在、釧路市は新たな条例で建設の規制を進めていますが、すでに着工した案件に対しては止められないケースもあります。
市民の声がどう届き、どのように自然と再エネのバランスをとっていくのか――その動きに注目が集まっています。
【参考文献・サイト】
・釧路市は「ノーモア メガソーラー宣言」をしました|釧路市ホームページ
https://www.city.kushiro.lg.jp/machi/kankyou/1004263/1004289/no-more-mega-solar.html
・釧路湿原国立公園の見どころ・施設マップ
https://www.env.go.jp/nature/nationalparks/list/kushiro-shitsugen/spot/
・北海道釧路市が太陽光発電施設許可制へ 野生生物保護へ条例案、来年1月の施行目指す
https://www.sankei.com/article/20250619-4ALUUQIWP5N3DIFDPB4L3BRUFU/
・オンライン署名 · 北海道釧路市・釧路湿原南部におけるメガソーラーの駆け込み建設中止を求めます! – 日本 · Change.org
https://www.change.org/p/北海道釧路市-釧路湿原南部におけるメガソーラーの駆け込み建設中止を求めます
