最近住宅街の中を歩いていると、ツバメやムクドリが人家に営巣して、巣材やヒナたちのためにエサを運ぶ様子が見られます。
先日、こんなニュース記事も目にしました。
「ツバメのヒナの命を優先」 まもなく解体予定の家屋にツバメの巣 解体工事“延期”の温かい決断(Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN)
※本ブログでは(なるべく毎日)野鳥に関するニュース記事を更新しています。
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家屋の解体業者が鳥獣保護管理法に従い、ツバメのヒナが巣立つまで工事を延期するというものです。
私の住んでいる家に野鳥が巣を作ったという経験はないのですが、実際に自分の家に営巣された人々の中には生活に支障の出る方もいるのではないでしょうか。
しかしその場合でも、安易に野鳥の巣を破壊してはいけません。
今回は、野鳥の営巣対策と鳥獣保護管理法について調べてみました。

かわいいだけじゃない?野鳥の巣作りによるお悩み
野鳥が人家に巣を作ることで起きやすいトラブルには、以下のようなものがあります。
・ふん害:軒先やベランダが白い点々だらけに…
・悪臭:糞によるにおいが気になることも…
・騒音:ヒナの鳴き声や親鳥の羽ばたきが騒音に…
・その他:ヒナを狙うカラスやヘビが寄り付いたり、鳥に寄生するダニを目にすることも…
でも「困ったから巣を壊してしまおう!」と手を出してはいけません。
ツバメやムクドリなどの野鳥は、鳥獣保護管理法(正式名称は「鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律」。鳥獣保護法とも略される)によって保護の対象となっています。

巣を壊すと違法?知っておきたい鳥獣保護管理法
鳥獣保護管理法では、以下のような行為が原則として禁止されています。
・野生の鳥を捕まえる・殺す
・卵やヒナがいる巣を壊す
・卵を採取する
ツバメやムクドリもこの保護対象です。
つまり、無許可で巣やヒナを排除するのは法律違反になるおそれがあるのです。

巣の後始末は?除去できるタイミングと注意点
ヒナが全て巣立ち、親鳥も姿を見せなくなった後なら、巣の撤去は基本的に問題ありません。
ただし以下の点に注意が必要になります。
・ヒナが巣立っても親鳥が戻ってくることがあるので、数日は様子見をしましょう。
・巣を撤去する際は、マスクと手袋を着用し、飛び散らないように湿らせてから作業を(糞などを吸い込むことで感染症を引き起こすリスクがあります)。
・巣材や糞は燃えるゴミとして処分できますが、地域のルールを確認の上廃棄しましょう。
巣を作られないための予防策
後始末の後は、来年また営巣されないために以下のような対策が有効です。
・物理バリアの設置(防鳥ネット・トゲトゲなど)
・侵入経路をふさぐ
・鳥が嫌がる素材(銀テープやテグス、CDなど)をぶら下げる
・こまめな清掃と点検で下見段階から対策を
ご自身での判断が難しい場合は、自治体(市役所の環境課など)に相談すれば、法的な対応や必要な許可について案内してくれる場合があります。
無理に自分で対処せず、専門機関の判断を仰ぐことも大切です。
ツバメやムクドリの子育ては、春~初夏の風物詩として楽しみたいもの。
でも日常生活に支障が出るなら、法律と衛生面の知識をもって対処することが重要です。
「人間の都合で壊す」のではなく、「どうすれば自然とうまく共存できるか」を考えるきっかけにしていただけたら嬉しいです。

【関連記事】
・春は営巣 ~身近な野鳥たちの巣作りについて~
・身近だけどよく知らないツバメの渡りと子育て事情
【参考文献・サイト】
ツバメの巣にお困りの方!鳥害対策のプロがツバメ被害について徹底解説 | 鳥害対策なら日本鳩対策センター
https://www.hatotaisaku.jp/guide/17763/
日本野鳥の会 : ツバメをまもろう
https://www.wbsj.org/activity/conservation/research-study/tsubame/conservation/
鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律 | e-Gov 法令検索
https://laws.e-gov.go.jp/law/414AC0000000088